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母は号泣、でも私はヘラヘラ。
映画「チェブラーシカ」を配給するための契約金は300万円。加えて、宣伝費などもろもろで計約1000万円はかかる。退職金をはたいてもまかないきれず、出資者を集めることに。並行して、劇場で販売するグッズ製作や日本語字幕入れ…目の回るような忙しさでした。そして迎えた封切り初日。忘れもしません。劇場にできた長蛇の列と、観終わったお客さんの幸せそうな顔。当日は、売店のグッズ販売に大忙しで感慨に浸るヒマもなかったんですけど(笑)。
その後は、グッズをいろいろ考えたり、チェブラーシカをフィーチャーした「チェブカフェ」を開店したり。カフェは東京で古〜い元牛乳屋の一軒家を見つけて改装したんですが、ついでに私、そこに住んでました。実家が神戸なんで、東京での居場所がなかったんです。カフェのために借金もしてたから、よそで家賃払うのももったいなくて。カフェのソファーで寝起きしてたら、神戸から様子を見に来た母に「なんて生活を…」って号泣されたこともありましたねえ。でも、やっぱり楽しかった。 |
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ただ、いい事ばかりでもありませんでした。まず、キャラクターグッズの売り出し方について意見がぶつかってしまい、共同出資してくれた出版社と決裂。大々的に売り出したかったみたいだけど、私はあくまで映画を愛してくれた人だけが買ってくれればいいと思っていた。実はよそからもいろいろ引き合いがあったんですけど、片っ端から断りました。たとえ数十億をフイにしたとしても、チェブラーシカの安売りはしたくなかったから。
他にも、ここでは言えないような大きな会社が介入してきたり……とどめは、ロシアの権利元から起こされた訴訟! チェブラーシカの権利はアメリカの会社が保有していて、きちんと筋を通して契約したはずなのに、日本での人気を見て「あれはウチのものだ」と横槍を入れてきたんです。
結局、チェブラーシカの権利は来年2月をもって任期満了で手放すことになりました。初めて出会ってから、実に8年。思い返せば、一度も体調を崩したことがなかった。よっぽど気張っていたんでしょうね。
未練はありません。チェブラーシカのおかげで、本当にいろんなことを学べたから。今、私は、So-netと組んで新たな映画の発掘に動き始めています。とびきりの映画を再び私の手で紹介すること。それが、チェブラーシカへの恩返しだと思っていますしね。
取材・文/漆畑陽生(ネック・ブリーカー・ドロップ)
撮影/青山弘和
取材協力/チェブラーシカジャパン
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