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日替わりの店長さんはボランティア!
古本屋をやるには、古物商の許可が必要です。売るのはいいけど、許可がないと買い取りができない。何度か警察署に行って申請するんだけど、平日は本業があるからなかなか動けない。自分のモラルとして休みとってまで動くことはしないって決めてたから、お昼休みにランチ抜きで会社と阿佐ヶ谷を往復したり、担当の人が夜勤の日を聞き出して夜行ったり。試験はないけど、市役所に行って必要な書類を揃えたりしなきゃいけなくて。最終的にはお盆休みを返上して、半年がかりで許可を取りました。それまでは、居抜きで買った古書を細々と売っていくだけだったんですよ。
そうこうするうちに、お客さんから「バイトは募集してないんですか?」って聞かれるようになりました。募集もなにも、赤字だから給料なんて出せないって言うと「無給でもいいです」って。それじゃ「バイト」にならないんだけど、『元我堂』って僕だけじゃなくお客さんにとっても魅力的な場所なんだって気が付きました。そんなことを考えているところに『散歩の達人』(東京の街をテーマにした雑誌)で取材していただいて。軽い気持ちで「店長募集! 無給だけど」って書いてもらったら、意外にたくさん応募があったんですよ。
無給で古本屋の店長って、週3だと厳しいけど、週1回だったらいいんじゃないかなって考えて、今のシステムになっていきました。月曜はお休みで、火曜から日曜まで一人ずつ担当する。日曜の夜は僕が店長です。だから、日曜はどこに遊びに行っても17時には店に来る。小学生よりも門限早いんですよね。
店長をやってくれているのは、主婦の方もいれば、デザイナーさんとか、いろんなタイプの人がいます。みんなダブルワークだから大変だと思うけど、責任感もってやってくれてます。ある店長から「お金もらってないからここまでできるんだ」って言われたことがあるんです。下手にバイト代もらってたら、もっと手抜きしようとするか、より多くのお金を要求する気持ちになる。無給でやって楽しまなかったらバカみたいだもんってね。 |
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店長は、自分が店に出した本が売れたら自分の取り分。でも、利益なんてしれてます。学祭の模擬店みたいなお遊び程度。ただ、週に5時間とはいえ自分の決定権で運営する時間と空間があることに、価値を感じているんだと思います。僕もそうでしたが、普通の日常では出会う人も限られるけど、『元我堂』にはいろんなお客さんが来てくれます。売上げの管理などはメーリングリストで連絡をもらうようにしてますが、基本的にはお任せ。信頼が大前提ですね。
面接して、店長をお願いすることにして鍵を渡すと、みんなうれしそうですね。RPGで「まりな(土曜店長)は元我堂の鍵を手に入れた!」みたいな感じ。まりなって店長は大学生なんです。採用する時、学生が無給で古本屋の店長やって、世の中をバカにしたような気分にならないかなって心配だった。だから、飲みながら約束したんです。絶対に同級生をバカにしたような気持ちを持つなって。この前まりなが「実は、昔の自分にはそういうところがあったけど、この店でいろんな人と友達になって、外見はちょっと変人ぽくっても、みんな普通なんだって思えるようになった」と言ってくれました。
今のところ新しい店長の採用予定はないですけど、僕が面接して採用を決める最大の基準は「現状に不満をもってないこと」かな。より自分を高めたいってポジティブな気持ちを持ってる人がいい。世の中を妬んでいる人が古本屋の店長なんかやると、なんだかよくないよなって思うんです。ま、普通の会社でも「今の会社が嫌だ」って人は採用しないでしょ。同じですよね。
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