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| 中野氏の書架には娘さんの書いた札が貼られていた。実務経験が豊富で、生活者の視点から社会を見つめる経済学者であることが中野氏の“能力”だ。 |
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中間管理職のリストラは、サラリーマンにとって雇用の不安定化という懸念要素。でも一方で「仕事にやりがいを感じるという若者が増えている。私自身、官僚として中間管理職からの指示で自分の仕事がスポイルされるような苛立ちを感じたことがあります。目の上のたんこぶである中間管理職がいなくなることで、会社のために何をするべきかが明確になり、モチベーションが高まる」(中野氏)からだ。
中野氏が日常的に接している学生たちにも、近年は「大企業への就職を熱望する者だけでなく、上場直前のベンチャーを志望する者が増えている」という。「従来型の日本企業は、たとえば大きな自動車メーカーに入るにはどんな能力が必要なのかが曖昧です。入社した後も、自分がどんな仕事をするのかはわからない。これは、日本企業の体質が“人に職を付ける”システムだったから」(中野氏)。採用した人を終身雇用するための前時代的な慣習なのだ。
どんな会社に入るかではなく、どんな仕事をするかというキャリア意識の高い最近の学生は、あえて大企業を捨て「ストックオプションという飛び道具」(中野氏)まで期待できるベンチャーを志望するようになったというわけだ。現状、日本の法人税は数%の大企業が90%を負担しているといわれている。でも、優秀な人材が“求める能力が曖昧”な大企業ではなく、ベンチャーや起業を目指すようになっている。将来的には大企業の弱体化も懸念されるのだ。
すでにサラリーマンとして働いている人にとっても「今後の企業は人を捨てる。会社に頼る意識を捨てて、自分自身のキャリアを高め、具体的に何の仕事ができるか“紙に書き出せる能力”を高めていくことが不可欠」だと中野氏は強調する。
勘違いしやすいが、中野氏のいう“能力”とは資格のことじゃない。たとえば、大学教授ならユニークな著書の数。ビジネスマンなら英語で海外プラント建設の交渉ができるかどうかといった、実務的な“力”と“実績”のことだ。つまり、自分に何ができるか、何を成し遂げたかを磨き上げ、自身の“評判”を高めることが大切なのだ。 |
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