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バックナンバー 2008年8月号
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【調査】まずは疑って係!/伊藤公紀教授に聞いてみました 温暖化問題って「ワナ」なんですか?
 
CO2が生み出すビジネスチャンス

「ナポレオン・ボナパルトは、『人を動かすのは恐怖と利益だ』と言ったと伝えられています。現在の地球温暖化問題は、まさに恐怖と利益によって動いている」と伊藤氏。氷山が崩れ落ちるセンセーショナルな映像をメディアが流して恐怖を煽り、CO2削減を大義名分とすることで、新たな「利益」が生まれつつある。わかりやすい「利益」のひとつが『排出権取引』だ。現役の金融ビジネスマンであり、『排出権取引とは何か』などの著作もある北村慶氏に、そのあらましを聞いてみた。

「排出権取引」で、日本の損得勘定は?

先日の北海道洞爺湖サミットでは、地球温暖化対策として2050年までにCO2排出量を半減することが合意されました。京都議定書において、日本は、1990年比6%の削減義務を負っていますが、実際には減るどころか、逆に6%以上も排出量が増えており、目標達成は困難な状況です。

「排出権取引」で、日本の損得勘定は?このため、日本政府は2年前から、中国やブラジルなどから排出権を購入しています。つまり、私たちの税金が、すでに中国などに流れ始めています。京都議定書に基づき、技術を供与することで、発展途上国での排出量を抑え、何もしなかった時に出たであろう排出量との差分を、日本が減らした量としてカウントしているのです。日本は世界最大の排出権購入国として認知されており、これに目を付けたヘッジファンドなどから排出権を高値で購入せざるを得なくなるリスクが囁かれ始めています。

日本では、削減が義務付けられているのは国だけであり、経済界の反対により企業の削減は義務化されていません。一方、EUでは国の義務を企業レベルにまで分割して課しています。そして、割当られた排出量以下にCO2を削減できた企業は排出権を売り、削減できない企業は排出権を買う、という市場取引が成立しています。というのも、削減目標未達成の企業には1トンあたりのCO2に100ユーロの罰金が課せられているからです。EUはこの排出権取引制度を世界に拡げようとしており、ブッシュ後の米国の新政権も同様の制度を導入し、EUとリンクする可能性が高くなっています。

「排出権取引はマネーゲームだ」いう批判もありますが、その導入は世界の趨勢となっています。私たちは、まずは税金が排出権購入にどのように使われているのかに関心を持つ必要があります。そして、中国の8分の1と言われる極めて資源効率の良い社会を築き上げた実績を背景に、地球温暖化問題をビジネスチャンスと捉え、高い技術力で稼いでいく“したたかさ”が求められているのです。
「温暖化」がカネになる 環境と経済学のホントの関係北村慶
投資ファンドやM&A、排出権取引に関わってきた現役の金融ビジネスマン兼作家。おもな著書に『「温暖化」がカネになる 環境と経済学のホントの関係』『排出権取引とは何か』『大人の投資入門』『投資ファンドとは何か』(いずれもPHP研究所)などがある。
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 カイシャ非常口
 
 
 2008.08 CONTENTS
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