とはいえ、現在市場に出回っている遺伝子組換え作物は、除草剤をまいても枯れなかったり、害虫を殺しちゃったりするコワモテなヤツらが中心だ。なんだか、農薬そのものを食べるような気がして気持ち悪い。おまけに、この世に生まれて10年そこそこの技術だし、食べ続けるとどうなるかなんて誰にもわからない。100%安全とは言い切れないはずだ。
「遺伝子組換え作物が安全か危険かと聞かれれば、危険ですと答えます。極論すれば必ずリスクは存在しますからね。でも、それは世の中のすべての食品にも同じように言えること。たとえば遺伝子組換え作物に使われている除草剤は、食塩よりも半数致死量が低い。100%安全論者の論理では、食塩は危険でとんでもないということになってしまいます。100%の安全なんて幻想なんです」と芦田氏はいう。そもそも、従来の品種改良は放射線照射や薬品などを使って行われてきた。つまり「遺伝子のどこがどのくらい変わったのかはわからない。だから規制もできなかった。遺伝子組換え作物は、何がどう変わったかがわかっているから安全性を検証できるし、規制ができるんです」ということなのだ。
芦田氏はまた、無農薬有機栽培は「むしろリスクが増大する」と警告する。「植物は本来、動けない自分を守るために毒を作る能力をもっています。野菜の品種改良はその毒を減らす方向で進んできました。ところが、無農薬農法によって寄生虫やウイルスに脅かされた野菜は、野生に逆行して毒を増やしてしまう懸念がある。つまり無農薬有機栽培は、労力やコストをかけて、収穫量を減らし、危険な毒素を含んだ野菜を育てることとも言えるのです」
いやはや、物事っていうのは「見方」によってまったく反対の意味がある。無農薬で作った野菜を食べるのが気持ちいいってのもわかるけど、それは「雑草を一本一本手で取れる家庭菜園レベルの畑でやってくれっていう話」(芦田氏)。世界の食を支える大規模な農業の現場に通用する理屈じゃないのだ。 |
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