総理 2007年6月の建築基準法改正で大打撃。中国の五輪景気で材料が高騰して、それが落ち着きそうになったと思ったらリーマンショック。それでなくても他社との競合が激しい業界なのに、最近は少ないパイの奪い合い。ひどいもんだよ。
大統領 とくに、去年の秋以降は深刻だよね。ウチの会社は注文住宅が得意だから富裕層の施主さんも多くて、ローンを組まずに家を建てるような人もいるんだけどさ。売却して建築資金にしようとしていた株が暴落して、計画がストップしてる人もいる。
県知事 金額だけにこだわる人が増えてる気はするね。ハウスメーカーの「2×4」と、ウチが得意としてる在来工法の注文住宅のプランを見積の金額だけで比較して「こっちはこんなに安いよ」って値引きを迫ってきたりして。
|
| 東京都内の住宅建築会社のベテラン営業マン。建築だけを請け負う工務店ではなく、注文住宅の設計施工まで一貫して受注。地域風土に根ざした在来工法の継承や環境共生住宅の技術などに積極的に取り組んでいる。本文中では左から「県知事」「大統領」「総理」と呼ぶ。 |
|
総理 そんなの、チェーン店のハンバーガーと、気合いの入った料亭の料理の値段を比べるみたいなことだよね。プランの自由度が高くて、自分たちの思いを家づくりに反映できる注文住宅のほうが、工期が長かったり坪単価が高いのは当然だし。
大統領 ストレートに「職人をもっと安く使って泣いてもらってよ」とか言ってくる人もいたなあ。ウチなんか職人さんとも長年の付き合いで、そもそもギリギリの金額でやってもらってるのにさ。
総理 家づくりって、すごくたくさんのプロがじっくり取り組むべき仕事なんだよ。まったく値段を気にするなとは言わないけどさ。自分が家づくりを任せる会社やプロたちとの信頼関係を守るためには、それなりにお金はかかるでしょ。このお面をかぶってるから言うんじゃないけどさ、値引きだけにこだわるのは、まったくもって「さもしい」ね。
●次のページは、「とはいえ、できれば安いほうがいいんですけど?」 |