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神足裕司
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【コラム】神足裕司の「市場(カネ)には心がある」 第1回/ファーストクラスは楽しいか?
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10数時間のために100万円近い金額を支払う…。日本の40代男性として平均よりちょっと高い程度の収入(もはや平均なんてものは基準にならない時代だが)しかもらっていない私は気が気ではなくなる。

このページのタイトルは経済学者の都留重人さんの遺作になった『市場には心がない』(岩波書店)から拝借したが、言葉そのものを発したのはポール・サムエルソンだそうだ。市場を過信してはならない、と。市場は冷徹なものだということなのだろうが、経済学者でもない私は、むしろ市場は「心」のせいでおかしくなっているのじゃなかろうかと考えて、この市場社会でおかしな目にあった体験を綴ろうと思う。

電車の駅前を見たまえ。もはや、日本の駅前には消費者金融とパチンコ屋の看板しかなくなった。市場経済に生きているなら、人はお金を借りるのとギャンブルする以外に、いくらでも必要な店がありそうだ。

どうして、作るのに大変に手間がかかるだろう鶏の卵10個入りパックと缶コーヒーが同じ値段なのか。小泉改革でさまざまな民営化が行われたが、道路を作るときの「採算性」って、さっぱりわからない。そんな疑問を、個人体験から考えてみたい。
第1回は、飛行機のファーストクラスについての体験的考察だ。
一昨年4月、私は成田〜サンフランシスコ間のファーストクラスに乗った。全日空のファーストクラスは平日定価は96万2200円。ビジネスが47万7800円だから、約2倍。エコノミーだと10分の1だ。航空運賃には様々な割引や、会社の接待などあって一様には言えないとしても、もし定価通りだったら、こんな散財はしない。

乗ることになったのは、マイレージという制度のためだ。この変わったシステムをネタにして笑わせてくれたのは米コラムニストのアート・バックウォルドだった。飛行機に乗る度、どんどん無料航空券が増えていってまた飛行機に乗らなければならなくなるという話。そんなバカなと思うが、マイレージの本質にはそんな幻想がある。


ウィキペディアによれば、マイレージの起こりは1981年のことだそうだ。'70年代後半ジミー・カーター大統領が航空自由化政策(ディレギュレーション)を行い、今の大阪のタクシー業界のように米航空業界は、身を切るような競争に突入。業績低迷の対策としてアメリカン航空が顧客囲い込みサービスである「アドバンテージ・プログラム」を開始したところ、一年間で100万人の会員を獲得したという。

以前、その区間でもらえるマイルを、交換できる航空チケットに換算してみたら、ざっと5%だった。5%引きと言われればそんなものかと思う程度でも「マイルがもらえる」と言われると「タダになった」と錯覚してしまいそうになる。ともあれ、私も「錯覚」したおかげで、ファーストクラスに乗ることができたのだ。
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 カイシャ非常口
 
 
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