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好きが高じてわらしべ社長
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【連載】好きが高じてわらしべ社長/岡野工業 代表社員 岡野雅行 奥田経団連会長や小泉首相まで訪れた、スーパー町工場?!
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世界を驚かせた「痛くない注射針」を完成できた理由。

岡野工業 代表社員 岡野雅行
 話題になった「痛くない注射針」は、ウチに依頼が来るまでに百社近くもの有名な大手企業が無理だって諦めてる難しい仕事だったんだ。でも、なぜ大企業に無理だった仕事が、ウチみたいな従業員6名の町工場に出来たんだと思う? それは「町工場だからこそ」なんだよ。大きい会社ってのは、新しい試みのためには事前に予算を組んだり、稟議を通したりの面倒なことをやらなきゃいけない。でもさ、それじゃ難しい仕事に機敏に取り組めないよ。ウチの場合は「出来なかったら俺が責任取る、だからやれ!」って言っておしまい。下町の親方気質っていうのかな、そんな経営が幸いしてるんだよ。

 「痛くない注射針」を完成できた最大のポイントは、発想の転換だね。“注射針はこうやって作るモノ”という固定観念にとらわれず、全然違う方法で作ることを思いついたんだ。実際に出来上がるかどうかは分からなかったけど、最後まで諦めないのが俺の信条。結局、金型が完成するまでに4年以上かかったよ。もうカネとかじゃないね、意地みたいなもんかな。開発に入る前の着手金とかも貰ってないし。そんな事やってたから、年間売上高3万5000円なんて年もあったんだ(笑)。

 人一倍、失敗はしてるね。だから何度でも、何度でも挑戦する。学歴のない俺だもん、チャレンジあるのみだよ。若い時は朝5時から工場に出て、夜9時まで勤務。その後、残務処理と開発の研究をして12時から午前2時まで配達……こんな生活を何十年続けてきたよ。本当に金型が好きなんだろうな。ちなみに俺、図面は全て頭の中、一切描いたことないよ。絵なんか描いてる前に手を動かすのさ。指先ってのは最高のセンサーだから、触ってるうちにヒントを思いつくことだって多い。実際にモノを触りながら、これまで培った金型の技を総動員してれば、たいていの問題は解決するもんだね。

 それでも思いつかない時? うーん……最後に役立つのは人からの生きた情報だよなぁ。これは本や学校じゃ得られないよ。俺が子供の頃、町の人から人生を教わったように、友人の業者や受注先の担当者たちが俺にいろんなことを教えてくれるの。人付き合いは大切だよ。だから、これ読んでる若いやつに言いたい! 結婚したからって付き合いの減るような奴は駄目だ。仕事と、人付き合いをわかってくれる嫁を見つけなさいってね。ウチはね、結婚当初に「金はガンガン稼ぐから、人付き合いをさせてくれ」って言ってある。俺の場合、嫁の理解にもずいぶん助けられてるんだよ(笑)。
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 カイシャ非常口
 
 
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