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好きが高じてわらしべ社長
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【逸話】好きが高じてわらしべ社長/有限会社プレジャー企画 代表取締役 大棟耕介 僕たちはホスピタルクラウンである前に「社会性のあるマニア集団」なんです。
 

マンションで会社設立、
気づいたら自社ビルを保有してた。


マンションのワンルームにFAXが一台。それが、有限会社プレジャー企画の始まりでした。社員は僕1人。プレジャーBのメンバーは専属アーティストという扱いです。かなり迷った末の起業でした。経営なんて初めてだし、そもそもクラウンを派遣する会社なんて前例がない。お手本にするビジネスモデルもない。とりあえず、お金を少しでも節約するために、移動はスクーター、食事はいつも冷凍のうどんでした。つぶれたら、その時はその時だと覚悟も決めていました。体力には自信があるし、日雇いの肉体労働でもすればいい。どんな仕事をしようが、駅員時代に自らノルマをつくったように、自分なりの目標や楽しさも見つかるだろうと思っていましたし。

有限会社プレジャー企画 代表取締役 大棟耕介
幸い、出演依頼は順調に増えていきました。法人化したおかげで、大手企業とも堂々と契約を結べるようになったんです。法人じゃなくフリーランスだったら、相手にしてもらえなかったでしょう。これは、起業してから気づいたメリットですけど(笑)。やがて、アーティストたちを社員として正式に雇い入れ、僕たちのウワサを聞きつけた似顔絵師集団がなぜか合流したりして、会社は大きくなっていきました。

社長としての僕のいちばん大きな役割は、アーティストをしっかり育てる環境づくり。最初にも言いましたが、プロとして恥ずかしくないパフォーマンスを身につけてほしいんです。個人的には、うちはアーティストをつくる「メーカー業」だと思っています。自社ビルを持っているんですが、これも練習場所を確保するため。最初は空き倉庫を借りていましたが、アーティストが増えるにつれて手狭になり、じゃあもうひとつ借りようかと繰り返すうちにどんどん賃貸料がかさんでいった。こりゃもったいないと思って、練習場つきの自社ビルを持つことにしたんです。こんな業態の会社に、銀行がよくお金を貸してくれたと思いますけど(笑)。アーティストが望めば海外の視察・研修にも行かせるし、有名講師だって招きます。

あとは、芸術性と一般性のバランスですよね。たとえばゴッホを始めとする芸術家は、生きている間はまったく評価されなくて、死んでから絵が売れるようになった。僕たちはそういうわけにいかないんです。会社だし、社員をきちんと食べさせなきゃならない。広く受け入れられるパフォーマンスで一定の収入をきちんと確保した上で、それぞれのアーティストが自分らしさを追求する場もつくる。今のところは、ちょうどいいバランスを保てているんじゃないかな。

次のページは、「職を失う不安はない。むしろ、また一から楽しめるじゃないか。」

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