お酒が増えきた方へ

あなたのその飲み方は大丈夫?

「あ〜飲みたい!」「じゃあちょっとだけ。これくらいならまあいいか」と飲み始めて、ついつい楽しくなって思った以上に飲んでしまう。そういう日がしょっちゅうだという人いませんか? 酒量もいつのまにか増えていて、二日酔いになったり、疲れやすかったり、睡眠も浅くなってきていて、生活も変わってきたという人、多いかもしれませんね?
長らくアルコールにまつわる疾患、悩みに関するカウンセリングに携わって来られた精神保健福祉士の岩本和也先生は、「こういった、さまざまなからだの症状、生活の変化の問題を引き起こす多量飲酒が、生活習慣病と言ってもいいほど深刻です。なかなか自覚がもてないため、脱却するのも難しい場合が多いです」と、多量飲酒の危険を示唆。「『今日くらい、いいか』という気持ちが、徐々に『このくらいの量は当たり前』という感覚になっていきます。多量飲酒は徐々に身体を壊しながらアルコール依存症へと進む入口にもなります」。
アルコール依存症に至ると強い飲酒渇望や強迫感を持ち、飲酒のコントロールができなくなり、離脱症状がある、断酒ができないといった症状を呈し、仕事の失職、借金、家庭崩壊など社会生活に障害をきたしてきます。ちなみに日本人の一人当たりの平均アルコール摂取量は減ってきているのに、飲酒日に60g(純アルコール量として)以上飲酒していた多量飲酒の人口は、860万人、アルコール依存症の疑いのある人は440万、治療の必要なアルコール依存症の人は80万人いると推計されています。他人ごとではすませられない!

いつのまにか飲酒ががまんできなくなってゆく

か自分が?「依存症への危険な階段。

昔はこのあたりでと思ったらやめられたのに、
今はつい飲みすぎてしまう・・・・。

アルコール依存症は麻薬にみられる中毒症状等とも共通するところがあります。「アルコール依存症の人はもう人生をだめにしているとも言えますね。かたや多量飲酒者はたとえば休肝日を作れる人もいますし、社会生活は送れるのです」。では多量飲酒にはまっているかどうかの見極めは?「飲酒量よりも起こっている症状や支障を問題にするほうがわかりやすいんです」。アルコールの過剰摂取が原因と思われる肝臓障害や、糖尿病、高脂血症などの病気に至る前に、すでに前段階としての変化が起こっていることに気づくこと。お酒を飲むと分解酵素の分泌が低下するので疲れがたまりやすくなったり、翌日起きれなかったり午前中の仕事の効率が下がったり、睡眠の質も低下してきます。昔はもっとばりばりこなしていた仕事が、頭がすっきりせずはかどらない。生活の変化としては、女性ならば、会社帰りに楽しんでいた買い物や習い事をしなくなったり、家事が疎かになったり。男性ならば、スポーツジムやゴルフの打ちっぱなしによく行っていたのに何年も行っていなかったり。また、家族との会話の時間が減ったなど飲酒と回復に時間をとられ、周りに影響を及ぼすことも。酒量も、昔はこのあたりでと思ったらやめられたのに、今はそれができない・・・・。このような多くの症状と付随する生活のクオリティの低下がつまり「多量飲酒者」の日常です。ここで気づいて、引き返さねば!

酒はいつでもやめられるそう答える人ほど危ない

アルコールとのつきあいをほどよく戻したい、と思っても生活習慣に飲酒が組み込まれていることがネックとなります。「アルコール依存症ではない多量飲酒者の特徴として、仕事はきちんとしているということがあげられます。よく夜遅くまで飲んでいるけど、朝はちゃんとしている(ようにみえる、ただし酒臭さは放つ)人は多く、責任ある役職の人も少なくないのです。健康診断や仕事の関係でその日だけは飲まないというくらいの意志の力はあるんです。『やめようと思ったらいつでもやめられる』というのが口癖。自分は違うと思うんでしょうね」。二日酔いが多くなった、疲れやすいのは歳のせいかな、と決め込んで、酒量のことは認めない人が大半だとか。お酒が強くて依存の傾向のない人だけが「酒豪」であるわけで、多くの人は多量飲酒の段階でからだに悪い影響をきたし始め、依存症になったら抜け出す手は断酒しかありません。
「酒をやめなければ死にますよ」とか「このままだと依存症になります」と言われて初めて自覚をするのでは遅すぎるのです。

気がつけばコントロールできない生活習慣に。

お酒から逃げられななるっかけは実にさ

定年退職者も多い


子どもが独立して寂しくなった主婦も・・・

たくさん飲むようになる機会や動機はさまざまです。昇進して接待で毎日飲むようになった、などわかりやすく短期間に陥る場合もありますが、転勤で通勤時間が短くなったら手持ち無沙汰になって、家でだらだら飲むようになったとか、授乳期間が終わったから、子どもが独立して寂しくなって・・・などなど。「定年退職者も多いですね。再就職までの3ヶ月間自分へのごほうびとして飲み始めたらたくさん飲むようになり、結局再就職出来ずに毎日飲んでいるといったケース。20代女性で、周りに合わせて飲むようになったらどんどん増えたとか、また不眠がきっかけで飲み始めて、寝つきが良くなったからと、はまる場合もありますね。最初はリラックスが目的、お酒を飲めば楽しいところからどんどんと深みにはまってしまう。でも何とかしようとは思っていないので、時間を酒に奪われ、からだを壊すリスクが高まっていくのです」。アルコールには脳内の神経伝達物質、ここちよさに関係するドーパミン、ストレスを抑えるといわれるセロトニンなどの分泌を促すといわれ、楽しくなったり、ストレス発散には役立つ面もあります。適量を守ればよきパートナーなのですが、適量を守れず酒にはまっていくリスクは多くの人にあって、果てはアルコール依存症へ到達してしまうこともあるとは認識しておいてください。多量飲酒の段階でなんとしても早めに習慣を正すことです。

心配が募たあなた
依存症
かどか今す

以下の質問に答えて3つ以上○なら、「アルコール依存症」の可能性高し。

1

3年前、5年前に比べて、明らかに最近のほうが酒量が増えた

はい

いいえ

2

ちょっとのつもりで飲み始めても、ついたくさん飲んでしまいがち
また、だらだらと飲んでしまうことが多い。

はい

いいえ

3

二日酔いになると酒を減らそうと思うが、夕方になればまた飲みたくなってしまう

はい

いいえ

4

健康診断の結果が悪くなっている。注意しようと思うけれども、酒はやめられない。

はい

いいえ

5

最近、疲れが取れにくくなっている気がする。

はい

いいえ

6

お酒をよく飲むせいか、以前はやっていた趣味や習慣に費やす時間が減ってきている。

はい

いいえ

7

お酒による失敗談やトラブルの経験があるが、ついつい繰り返してしまう。

はい

いいえ

8

お酒が切れると、気持ちや身体に不調を感じる。もしくは、切らしたことがない。

はい

いいえ

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ビールなら中ビン1本、日本酒なら1合まで

正しいお酒とのつきあい方とは?

日本の健康政策である厚生労働省の「健康日本21」においては、「節度ある適切な飲酒」を「1日平均 純アルコール量20g程度の飲酒」と定義しています。ビール中ビン1本、あるいは日本酒1合、あるいは25度焼酎350ml1缶相当です。「昭和の家族団らんの場では、おとうさんがよく晩酌を楽しむ光景がありましたが、量はほどほどな加減だったものです。一日がんばって張り詰めた神経をほぐす至福の一杯をいただき、酒は百薬の長という言葉を実践していたのです。明日への活力を生むその人に合った適量なら毎日飲んでもいいのです。一方で現代の多量飲酒者は、健康診断の悪い結果でようやく、やっぱりと気づいたり、酔っ払って失敗やけがを繰り返したり、飲酒が原因で亡くなった身近な人の例を見て初めて酒量を減らすことも多いようです。とにかく自分の生活習慣を振り返って早く自覚をもつしかないのです。多量飲酒の傾向を認めたら、ずるずると内臓疾患やアルコール依存へと進まないよう酒量を減らす、それに尽きます。」