ファブリー病を知っていますか?

病気を正しく理解することが、より良い日常生活を送ることにつながります

この病気の名前を初めて知った方も多いのではないでしょうか? ファブリー病は、新生児の有病率が約7,000人に1人といわれています(※1)。 発症する時期が人によって異なったり、症状が多岐にわたることから、ファブリー病の症状が出てから確定診断までに平均10年以上かかるといわれています(※2)。 これがファブリー病診療の問題のひとつと考えられています。

※1 出典:Inoue T et al. J Hum Genet.2013;58(8):548-552

※2 出典:伊藤 康, 他. 日本小児科学会雑誌 2015; 119(12): 1733-1741

ファブリー病の症状とは?

  • 手足に痛みやしびれがあるのに原因が分からない
  • 汗をかきにくい
  • 健康診断でたんぱく尿を指摘された

これらはファブリー病の症状の一部ですが、もしかしたら、あなたの身近な人のなかにも、
このような症状があるにも関わらず原因不明で悩んでいる人がいるかもしれません。
専門の医療機関で受診することで、症状の原因が明らかになる可能性があります。

小児・思春期に見られる症状

小児・思春期に見られる症状

小児・思春期に自覚することが多い代表的な症状は、「手足の痛みとしびれ」や「汗のかきにくさ」です。
食後の腹痛、下痢や嘔吐といった胃腸の症状や、疲れやすい、だるい、耳が聞こえにくい、めまいがする、など、さまざまな症状が現れることがあります。
すべての症状が出るのではなく、人によって症状が異なるのがファブリー病の特徴のひとつです。

大人になってから見られる症状

心臓の症状 心肥大、不整脈、心不全 など 腎臓の症状 たんぱく質、腎不全 など 脳血管の症状 脳梗塞、脳出血 など

大人になってからファブリー病の症状が現れる人もいます。その場合、心臓や腎臓の症状に限られることもあります。

ファブリー病の仕組み

私たちの体の細胞は、生きるために必要な成分やエネルギーを毎日作り出しています。
一方でいらなくなった物質は、細胞の中の「ライソゾーム」という小器官で分解されます。
ライソゾーム内には、いらなくなった物質を分解するためにさまざまな「酵素」が存在しますが、
ファブリー病はこの酵素のひとつの働きが弱い、あるいは働かないことが原因でおこる病気です。

ファブリー病は、「本来であれば体内でつくられる酵素(α-ガラクトシダーゼ)」の働きが弱い、あるいは働かないことによっておこります。
酵素によって分解されるべき物質(GL-3)がうまく分解されずにたまり続けてしまうことで、全身にさまざまな症状が現れます。

●ファブリー病の仕組み

ヒトの細胞 細胞の中にあるライソゾームで、α-ガラクトシダーゼという酵素の働きが低下していると… GL-3という物質がライゾゾームに徐々に蓄積していきます。

ファブリー病は“診断が遅れる傾向にある病気”です。

患者さんの約9割が、4歳から12歳で初めてファブリー病の“痛み”の症状を経験するというデータがあります。一方、医療機関で「ファブリー病」と診断された年齢は平均で28.3歳。病気の発見が遅れる傾向にあります。
その理由は“症状の原因がファブリー病であると診断することが難しい”から。何十年もの間、症状に悩みながらも原因が分からず困っている人も少なくありません。

●ファブリー病の発症年齢とファブリー病の診断時年齢

ファブリー病の発症年齢とファブリー病の診断時年齢

出典:伊藤 康, 他.日児誌 2015;119(12):1733-1741

ファブリー病は“進行性の病気”です。

しかも気を付けたいのは、ファブリー病は“放っておくと進行する病気”だということです。小学校低学年から手足の感覚異常や痛みの症状が始まり、治療をせずにいると腎臓や脳血管、心臓にも重い症状が出てしまう可能性が高いのです(※)
※症状が現れる時期や種類、程度には個人差があります。

●古典型ファブリー病症状の進行モデル

古典型ファブリー病症状の進行モデル

出典:衞藤義勝 編:ファブリー病UpDate, p.106, 2013, 診断と治療社より改変

ファブリー病は遺伝子の変化によって起こる病気です

ファブリー病の患者さんは、α-ガラクトシダーゼという酵素をつくる遺伝子に変化が起こっています。
患者さんのご家族やご親戚は、同じ遺伝子の変化をもっている可能性があります(※)
ご家族やご親戚の状況を確認し、必要に応じて適切な検査を行うことが、ファブリー病の早期診断につながります。

※両親が遺伝子の変化を持っていなくても、突然の遺伝子の変化によって子どもがファブリー病になる可能性もあります。

ファブリー病専門医からのメッセージ

「子どもや家族がファブリー病かもしれない」と感じたら、どうすればいいのでしょうか。
ファブリー病研究の第一人者である、衞藤義勝先生はこう話します。

衞藤義勝 先生

一般財団法人脳神経疾患研究所 先端医療研究センター センター長/遺伝病治療
センター所長/東京慈恵会医科大学名誉教授
衞藤義勝 先生

ファブリー病やポンペ病をはじめとした先天代謝異常症の、病因解析や治療法開発研究における第一人者。

「ファブリー病についてインターネットで検索すると、さまざまな情報が見つかります。それによって不安を感じる方もいらっしゃるでしょうが、ファブリー病は治療法のある病気です。

実例をお話すると、私がファブリー病だと診断し、治療を続けている患者さんのひとりに小学生の男の子がいます。子どものうちは手足の痛みが特に強く出る傾向にあり、彼も痛みが原因で「学校に行きたくない」と訴えていました。しかし治療を続けるうちに痛みが減り、元気を取り戻したその子は、嫌がることなく学校に行けるようになったのです。

ファブリー病は治療開始が遅くなると、心臓や腎臓、脳の血管障害を引き起こす可能性がある病気でもあります。腎不全や心不全まで進むとなかなか治療効果が出ないこともあるため、とにかく早期診断・早期治療が大切です。

思い当たる点があれば、一度専門の医療機関を受診することをおすすめします。」

ファブリー病は「酵素補充療法」と「対症療法」の両面から治療します。
酵素補充療法では、ファブリー病で不足する酵素を点滴で補充し、たまった物質を分解することで、ファブリー病の進行を抑えます。
また、「手足の痛み」には痛みを抑える薬、「皮膚の赤い発疹」にはレーザー治療、「胃腸の症状」には食事療法、等々、対症療法を行い、症状を軽減させていきます。

●ファブリー病の主な治療法

ファブリー病の主な治療法

ファブリー病は、早い段階で専門の医療機関を受診すること大切です。

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※ファブリー病は、国が難病に指定している「ライソゾーム病」のひとつです

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掲載期間 : 2017年7月31日~9月13日

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