掲載期間:2017年10月2日(月)~2017年11月30日(木)

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病気を正しく理解することが、より良い日常生活を送ることにつながります

監修:
一般財団法人脳神経疾患研究所 先端医療研究センター センター長 / 遺伝病治療センター所長 / 東京慈恵会医科大学名誉教授
衞藤義勝 先生

ポンペ病が進行性の筋力低下の病気ということをご存じない方も多いのではないでしょうか。ポンペ病の有病率は、民族や国によってことなりますが、全体では4万分の1と推定されています(※1)。この病気は希少であるために診断が難しく、症状が出てから確定診断に至るまでには平均7年を要しています(※2)。進行性の病気であるにもかかわらず診断までに時間がかかる事がポンペ病診療の問題のひとつと考えられています。

  • ※1 ポンペ病(糖原病Ⅱ型)診断・治療ガイドライン改訂版 2013年発行 ㈱アドメディア
  • ※2 Winkel LPF, et al. J Neurol. 2005; 252(8): 875-884

ポンぺ病の症状とは?

代表的な症状

足の筋肉の筋力低下
手すりを持たないと階段が登れない
イスから立ち上がるのが困難
走るのが遅い
転びやすい
検査値の異常
クレアチンキナーゼ(CK)値が高い
肝機能検査値の異常(AST,ALT値が高い)
呼吸機能の低下
息苦しさを感じる
朝起きたときに頭痛がする
その他の症状
すぐにつかれてしまう
次のような場合にもポンぺ病が含まれていることがあります
筋ジストロフィーと診断されたが何型か不明
肢帯型筋ジストロフィーと診断を受けているが、診断されたのがかなり昔である

監修: 国立精神・神経医療研究センター病院 名誉院長 埜中 征哉 先生

これらはポンペ病からくる症状の一部です。
もしかしたら、あなたの身近な人のなかにも、
このような症状があるにも関わらず原因がわからず困っている人がいるかもしれません。

このような症状でお悩みの方は、医師に相談しましょう。

ポンペ病ってどんな病気?

私たちの体の細胞は、生きるために必要な物質を毎日作り出しています。一方でいらなくなった物質は、細胞のなかの「ライソゾーム」というところで分解します。
ライソゾーム内には、いらなくなった物質を分解するために、たくさんの種類の「酵素」が存在するのですが、ポンペ病はこのなかの一つの酵素の働きが弱い、あるいは働かないことでおこる病気です。

引用:
Pompe Disease 2nd edition 2014年 UNI-MED Verlag AG, D-28323 Bremen, International Medical Publishers

ポンペ病の仕組み

ポンペ病は遺伝子の変化による病気で、「本来であれば体内でつくられる酵素(酸性α-グルコシダーゼ)」がつくられない、または働かないことによっておこります。
酵素によってグルコースに分解されるはずの物質「グリコーゲン」がうまく分解されず、全身の臓器・器官の細胞にたまってしまうことで、さまざまな症状が出るのです。 ポンペ病は「糖原病Ⅱ型」とも呼ばれています 。

引用:
Pompe disease: Current Diagnosis and Treatment 2009年 診断と治療社

ポンペ病の3つのタイプ

TYPE1 乳児型
生後6ヵ月までに症状が現れ、筋力の低下が急速に進行します。体重があまり増えない、運動機能の発達が遅れる、骨格を支える筋肉の力が弱くなる、心臓が肥大するなどの症状が出ます。
TYPE2 小児型
生後6~12ヵ月以降に症状が現れ、乳児型に比べると筋力の低下はゆっくり進行します。骨格を支える筋肉や呼吸に使う筋肉の力が弱くなりますが、心臓の肥大はあまりありません。 ただし、1歳以前に症状が現れた場合は、心臓の肥大があることがあります。
TYPE3 成人型
成人以降に症状が現れ、乳児型や小児型に比べ、よりゆっくりと進行します。骨格を支える筋肉や呼吸に使う筋肉の力が弱くなりますが、心臓の筋肉への影響はまれです。
引用:
Pompe Disease 2nd edition 2014年 UNI-MED Verlag AG, D-28323 Bremen, International Medical Publishers

小児型・成人型では、「呼吸」や「運動」の症状が出やすい

運動
ポンペ病では、特に足腰の筋肉の力が弱くなります。そのため運動が苦手だったり、つまずいたり転びやすくなったりといった症状が現れます。また、腰痛に悩む人や、体にうまく力が入らず生活に困難を感じている人もいます。
呼吸
ポンペ病では、呼吸に使う筋肉の働きが低下するため、睡眠中にうまく呼吸ができない人もいます。そのせいで朝起きるとボーッとしていたり、頭痛を感じたり、日中に眠くなったり……という症状を感じる人も少なくありません。

ポンペ病は遺伝子の変化によって起こる病気です

ポンペ病の患者さんは、父親と母親の両方から、病気の原因となる遺伝子の変化を受け継いでいます。
この場合、両親は、遺伝子の変化を持っているけれどもポンペ病を発症することのない「保因者(ほいんしゃ)」となります。
両親が保因者の場合、1/4(25%)の確率でポンペ病のお子さんが生まれます。

ポンぺ病は“進行性の病気”です

年齢や個人によって体のなかの酵素の量や働きに差があり、病気の進む速さには個人差がありますが、放置すれば、呼吸不全や呼吸障害の進行によって死亡する可能性もあります。
年齢を問わず治療をしない限り着実に進行する病気なので、早めの発見が大切です。

ポンぺ病は“診断が遅れる傾向にある病気”です

ポンペ病はあまり知られていないだけに、進行性の病気にもかかわらず発見されにくい病気です。
右図のように、病気のタイプにもよりますが、ポンペ病の症状が出てからポンペ病と診断を受けるまでに平均で7年という時間がかかっています。

引用:
Winkel LPF, et al. J Neurol. 2005; 252(8): 875-884より作成

ポンぺ病専門医からのメッセージ

「ポンペ病」研究の第一人者である、衞藤義勝先生はこうおっしゃいます。

一般財団法人脳神経疾患研究所 先端医療研究センター センター長/遺伝病治療センター所長/東京慈恵会医科大学 名誉教授
衞藤義勝 先生

ポンペ病やファブリー病をはじめとした先天代謝異常症の、病因解析や治療法開発研究における第一人者。「東京クリニック」にて小児科医師として診断・治療にあたっている。

「ポンペ病は治療法のある病気です。
私が担当しているポンペ病患者さんのなかには、筋力が低下し、やっとの思いで歩いていた状態から、治療を通じて筋肉がつき、歩ける距離が伸びた人がいます。また、常に感じていた息苦しさが治療によってラクになったという患者さんもいらっしゃいます。

一方で、治療が遅れ病状が進行すると、最終的に寝たきりになり呼吸障害で亡くなる方もいる……という現実があるため、ポンペ病についてインターネット等で調べれば調べるほど不安を感じてしまうこともあるでしょう。

なにより大切なのは、早期診断・早期治療。ポンペ病は、いくつかの病院を回っても診断がつかないケースも少なくありません。(この記事を読んで)思い当たる点があれば 、早い段階で専門の医療機関を受診してください。今の症状がよくなるように、一緒にがんばっていきましょう」

ポンペ病を深刻化させないためには、早い段階で専門機関を受診することが大切です

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掲載期間 : 2017年10月2日~11月30日

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